最終更新日:2026年9月12日
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この記事でわかること
寝屋川市の「空き家税」が全国初の全域課税で成立
2026年7月9日、大阪府寝屋川市議会は「空き家流通促進税」(通称:空き家税)の条例案を全会一致で可決しました。使われていない空き家に対し、固定資産税とは別に市独自の税を課すものです。
注目すべきは、市内全域を課税対象とするのは全国初という点です。先行する京都市の制度が市街化区域に限定されているのに対し、寝屋川市は市域全体をカバーします。
制度の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 空き家流通促進税 |
| 税率 | 35% |
| 課税対象戸数 | 約6,400戸 |
| 市内の空き家総数 | 約1万5,000戸(市内住宅の13%以上) |
| 課税開始時期 | 2029年度を目指す |
| 税収見込み | 年間約1億4,000万円 |
| 課税範囲 | 市内全域(全国初) |
税額の計算方法
課税標準は次の2つで、それぞれに税率35%を掛けた額が税額になります。
- 家屋の固定資産税額
- 土地の1㎡あたりの固定資産税額 × 家屋の延べ面積
つまり、これまで払っていた固定資産税に上乗せする形で課税されるイメージです。
なお、法定外税であるため、実際の導入には総務大臣の同意を経る必要があります。2029年度という開始時期も現時点では「目指す」段階である点に留意が必要です。
課税対象となる「空き家」の定義
ここが最も重要なポイントです。すべての空き家が課税されるわけではありません。
課税対象となるのは、居住実態がなく、かつ賃貸や売却の予定もない住宅です。言い換えれば、「動いていない空き家」に絞って課税する設計になっています。
つまり、単に人が住んでいないだけでは対象になりません。市場に出す意思がなく、放置されている状態が問題視されています。
課税が免除される主なケース
報道・審議会答申によれば、以下のようなケースは課税免除の対象として挙げられています。
- 賃借人の募集または販売を開始した日から1年を経過していないもの(=売りに出している、貸しに出している状態)
- 所有者が死亡した場合など、その事実が発生した日から3年間(=相続直後の猶予期間)
- プラットフォームを活用するなど、空き家の解消に努めているもの
この免除要件から、市の狙いが明確に読み取れます。「売る・貸す」という行動を起こしていれば課税しない——つまり、罰金というより「行動を促すスイッチ」としての税なのです。
京都市の空き家税との違い
同じ「空き家税」でも、設計思想が異なります。
| 寝屋川市 | 京都市 | |
|---|---|---|
| 正式名称 | 空き家流通促進税 | 非居住住宅利活用促進税 |
| 課税範囲 | 市内全域(全国初) | 市街化区域のみ |
| 主な対象 | 賃貸・売却予定のない空き家 | 別荘・セカンドハウスなど非居住住宅を広く対象 |
| 焦点 | 流通の促進 | 非居住住宅全般の利活用 |
寝屋川市は「別荘に課税する」のではなく、「動いていない空き家を市場に出させる」ことに焦点を絞っている点が特徴です。
なぜ「空き家税」なのか——狙いは税収ではなく行動変容
寝屋川市の広瀬慶輔市長は「目的は税収の確保ではなく、空き家所有者の行動変容」と明言しています。
背景には次の課題があります。
- 空き家は火災の拡大要因になりうる
- 景観の悪化や治安面の不安につながる
- 使える住宅が市場に出ないため、若い世代の定住・移住の受け皿が不足する
つまり、「放置し続けるコストを可視化」することで、売却や賃貸へ動いてもらい、子育て世代へ住まいをバトンタッチする——これが制度の本質です。
埼玉県への波及可能性と、今後の影響を考察
寝屋川市は大阪府であり、埼玉県内でこの制度が導入されているわけではありません。しかし、不動産の実務目線では、次の3点で注視すべき先行事例です。
① 「全域課税」の前例ができたこと
京都市の「市街化区域限定」から一歩踏み込み、市域全体での法定外税が成立しました。全国初の前例ができたことで、他自治体が制度設計を検討する際のハードルは確実に下がります。
② 埼玉県も空き家問題は深刻
埼玉県は都心へのアクセスが良い一方、郊外エリアを中心に空き家が増加しています。特に相続で取得したまま放置される実家は全国共通の課題です。人口減少と高齢化が進むなか、同様の施策を検討する自治体が今後出てくる可能性は否定できません。
③ すでに「放置すると損」の流れは始まっている
空き家税がなくても、現行制度で「特定空家」に指定されると住宅用地の特例が外れ、固定資産税が最大6倍になります。空き家税はこの流れをさらに一歩進めるものです。
制度が導入されるかどうかに関わらず、「空き家を放置するコストは上がり続ける」——これが最も重要な示唆です。
空き家を所有している人が、今からできること
寝屋川市の制度が示すのは「動いていれば課税しない」という考え方です。裏を返せば、早めに動くことが最大の防御になります。
1. まず資産価値を把握する(無料査定で現在の売却価格を知る)
2. 売る・貸す・使うの方針を決める(放置が最もコストが高い)
3. 相続で取得した空き家は特例の期限を確認する(相続空き家の3,000万円特別控除など)
4. 建物の劣化が進む前に判断する(放置期間が長いほど価値は下がる)
空き家は「持っているだけ」で固定資産税・管理費・劣化リスクが発生します。時間は味方ではありません。
監修者の視点
不動産の現場で20年以上見てきて確信するのは、空き家の問題は「決断の先送り」が本質だということです。「いつか使うかもしれない」「兄弟で話がまとまらない」——そうしているうちに建物は傷み、価値は下がり、税負担だけが積み上がります。
寝屋川市の制度は、この「先送り」に経済的なコストを乗せる仕組みです。そして重要なのは、免除要件が「売りに出す・貸しに出す」ことである点。行動さえ起こせば課税されないのです。
埼玉でも同様の議論が起きる前に、まずはご自身の空き家が「いくらで売れるのか」を知っておくことをおすすめします。判断材料がなければ、決断はいつまでも先送りされてしまいます。
よくある質問(FAQ)
Q. 寝屋川市の空き家税はいつから課税されますか?
A. 2029年度の課税開始を目指す方針です。ただし法定外税のため総務大臣の同意手続きが必要で、現時点では確定した開始日ではありません。
Q. 空き家を売りに出していれば課税されませんか?
A. 寝屋川市の制度では、賃借人の募集や販売を開始した日から1年を経過していないものは免除対象として挙げられています。「動いている空き家」は課税しない設計です。
Q. 相続したばかりの空き家も課税されますか?
A. 所有者が死亡した場合などは、その事実の発生から3年間は免除されるとされています。ただし猶予期間内に方針を決める必要があります。
Q. 埼玉県でも空き家税は導入されますか?
A. 2026年7月時点で、埼玉県内に同様の空き家税は導入されていません。ただし全国初の全域課税という前例ができたことで、他自治体への波及可能性は注視すべき状況です。
まとめ
寝屋川市の「空き家流通促進税」は、2026年7月9日に全会一致で可決され、市内全域を対象とする全国初の空き家税となりました。税率は35%で、2029年度の課税開始を目指しています。
課税対象は「賃貸・売却の予定がない空き家」に限られ、売りに出す・貸しに出すといった行動を起こせば免除されます。狙いは税収ではなく、所有者の行動変容です。
埼玉県で同制度が導入されているわけではありませんが、空き家を放置するコストが上がり続ける流れは全国共通です。空き家をお持ちなら、まずは無料査定で現在の資産価値を把握し、早めに方針を決めることをおすすめします。
※本記事は2026年7月時点の報道・公表資料に基づく情報です。制度の詳細は今後変更される可能性があるため、最新の情報は寝屋川市の公式発表をご確認ください。
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🖊 この記事の監修者
不動産業界20年以上の実務経験を持つ専門家が監修しています。売買仲介・査定の現場経験にもとづき、埼玉エリアの不動産売却について正確でわかりやすい情報をお届けしています。
記事内の価格帯は一般的な取引事例をもとにした目安です。より詳しい情報は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」や「レインズ・マーケット・インフォメーション」などの公的データもあわせてご確認ください。


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